幼児のカラダの成り立ち② 「手指」「運動機能」「ことば」の発達から子どもの食を考える 〜 homealの幼児食専門家にきく🥕


今回は「カラダと心の発達から、幼児食を考える」がテーマです。

こんにちは。幼児食アドバイザーのますだすみよです。

一生のうちで、人のカラダがもっとも大きく変化する幼児期。前回は「歯」と「胃」の成長から、幼児食の考え方についてお話しました。

今回のお話は、子どもの手指」「運動機能」「ことば」の発達です。これらの理解を進めることで、食のプロセスそのものを見直す機会になればと思います。

 

「手指」の発達と道具

乳児の場合は、9ヵ月ごろから食べものに自ら手を伸ばし、口に運びはじめます。

この「手づかみ食べ」は手指の発達を促し、食べものの感触を知るうえで大切なプロセスです。食後の後片づけなど、パパやママには大変なことも増えますが、スプーンからお箸へスムーズに移行するためにも、できるだけたくさんの体験をさせてあげましょう!

 

スプーン・フォーク

1歳過ぎくらいから、子どもの反応を見ながらスプーンデビューをしてみましょう

ちなみにわが家の息子たちは、「食べたい」の欲求が強かったせいか、なんでも手で食べてしまい、なかなかスプーンが上手に使えるようになりませんでした。

そこで、手づかみできるおにぎりなどで少しお腹を満たしてから、スープなどでスプーンの練習をしていました。

一方で、手で直接食べものを触りたがらないお子さんもいます。野菜スティックやパンなど、持ちやすく手が汚れにくいものを用意すると、子どもも親もお互いストレスを減らせます。その子に合わせた工夫ができるといいですね。

大切なのは、まわりのお子さんと比較しないことです。焦らずにそれぞれのペースで取り組みましょう。

 

お箸

スプーンの持ち方が大人と同じになったら、お箸の練習を始めます。

ポイントは「指の力」です。

トングで消しゴムつかみをするなど、指先の運動をしてからお箸の練習に移る保育園もあります。年齢で決めるのではなく、しっかり指の力がついてから始めるといいでしょう。

また、お箸使いが上手になるころには、多くの子どもがお茶碗も持てるようになります。小さい手でもしっかり底を持てるように、子ども用のお茶碗を準備します。

 

「運動機能」の発達と心

手指以外にも、幼児期の運動機能は1年ごとに著しい成長を見せます。

1歳半から小学校にあがるまでの約4年間で「歩く」「走る」「ジャンプ」「片足ケンケン」、練習すれば「スキップ」などもできる子どももいます。

三輪車、ブランコなど道具を使った遊びもできるようになり、行動範囲も広くなるでしょう。

毎日の変化がうれしくなると同時に、こうした運動機能の発達による「心」の育ちが、食事のシーンにも影響を与えるようになります。

さまざまなことへの興味や、思い通りにならないもどかしさも出てくる時期。

「ほかのことが気になる」「がんばっていても、ちょっとずつしか食べられない」などの様子が、親からすると「遊び食べ」「ダラダラ食べ」に見えてしまうこともあります。

けれど、幼児期は失敗を繰り返しながら大人への階段を登っていく時間です

子どもたちが「失敗したらどうしよう」「怒られたらどうしよう」と不安になりやすい時期だからこそ、傍にいる大人が「大丈夫だよ」と受け入れてあげることが大切。おおらかな気持ちで見守られるうちに、子どもは安心してまたチャレンジしてくれるようになります。

そのためにも、食事の際は「テーブルの下にシートを敷く」「エプロンをつける」「おもちゃを片付づけておく」など、大人が少しでもストレスを軽減できるように準備するといいですね。

 

「ことば」の発達と自我

およそ1歳ごろから「ママ」「パパ」などの単語(一語文)を自分で発するようになり、どんどん周りのことばを理解できるようになっていきます。

「すごいね!」「わぁ!言えたね!」とたくさんほめてあげましょう。大人に認められていると感じることで自信がつき、より「失敗」を恐れず積極的にチャレンジしてくれるようになります。

また個人差はありますが、2歳を過ぎるころには他人のものと自分のものの区別ができるようになり、「~(名前)の!」と主張することが増えます

食に興味の少ないお子さんでも「~ちゃんのごはんだよ」と言ってあげると、よりスペシャル感が出て関心を持ってくれるかもしれません。

また、「これ、イヤ!」など自我の芽生えをはっきり口にする場面も増えてきます。がんばって作ったごはんを食べてくれなかったり、散らかしてしまったり……親がイライラすることもしばしば。

そんなときは作り置きや市販のものを上手に利用しながら、まずはお子さんと一緒に「おいしいね!」と食卓を囲むことを意識してみましょう。

みんなの笑顔が、なによりのごちそうです。

4歳を過ぎると、だんだん「わたし」「ぼく」と言えるようになったり、語彙も増えて意思の疎通がスムーズになります。

自我の発達に伴って、「お手伝い」をよくしたがるのもこの頃です。

わたしが講師を務める「こども料理教室」では、4歳で通ってくれるお子さんもいます。子ども用包丁で野菜を切ったり、上手に盛り付けたり、わたしの話もしっかり聞いて理解してくれます。

お子さんの興味に応じて、できる範囲でお手伝いをさせてあげましょう!食への関心も高まりますよ。

幼児期のカラダや心の成長はうれしい反面、戸惑うことも多くなります。でも、「失敗」を繰り返すことは大切なプロセス。エールを送りながら、あたたかく見守ってくださいね。

 

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