食事の環境を整える③ 便利グッズとのつきあい方 ~ homealの専門家にきく🥕


今回のテーマは、「子どもの食事における、便利グッズの使い方を考える」です。

こんにちは!「管理栄養士」「現役の保育園栄養士」の椛嶋貴子です。

育児をしていくときに、強い味方となるのが「便利グッズ」。食事のシーンでも、子どもが食べやすい椅子や食器、食具……たくさんの製品が販売されています。多くの家事をこなしながら子どもをみるには限界があるなかで、なくてはならない存在です。

しかし、そうしたグッズにばかり頼りすぎてしまうと、子どもの成長すべきところがうまく育たない可能性もあるんです。

今回は、子どもの発達を保証しながら便利グッズとどのようにつきあえばいいのか?を考えていきましょう。

 

育児の味方!「便利グッズ」

育児を助けてくれる便利グッズで、みなさんは食事のときにどんなものをよく使うでしょうか。

まずは、子どものお尻をすっぽりとはめ込むタイプの椅子。赤ちゃんのときから使っている方も多いのではと思います。カラダが固定されて食事のとき動かずに食べてくれるので、とても便利なグッズです。

テーブルに貼り付くお皿も、忙しいパパ・ママにはとても助かるアイテムですね。お皿の底に吸盤が付いていて、ちょっとやそっとじゃ動かないようになっています。

また、子どもが簡単に食べものをつまめる矯正箸は、幼児食期の子どもに持たせていることも多いのではないでしょうか。まだ手先がうまく使えないお子さんでも、自分で箸を動かして食べられるという優れものです。

 

でも“うまくできない”原因になることも

どれも便利な育児グッズですが、一方でそれに頼りすぎてしまうと、お子さんの成長に影響が出てくることもあるのです。

実際に、わたしが保育園勤務のなかで経験した例から注意したい点を解説していきますね。

 

 食事のときに姿勢が保てない

1歳児クラスのなかに、お昼ごはんを途中で切り上げることが続くお子さんがいました。食事のときに自分の姿勢を保つことができず、疲れてしまうようです。

ご家庭での様子を詳しく聞いてみると、食事中はいつもはめ込み型の椅子に座らせているとのこと。子どもが動き回ることもなく便利なので、赤ちゃんのときからその椅子だけを使っていたのでした。

実はこうしたはめ込み型の椅子は体幹を使わなくても座れてしまうため、全身を支える筋肉が発達せず、普通の椅子に座ったときにカラダを支えられなくなってしまうことがあります。このお子さんも「自分自身を支えて座る」という機能がうまく育っていなかったのです。

「体幹を鍛える遊びを積極的にする」などのサポートを保育園でおこなった結果、しっかり座って食べられるようになりました。

 

左手が出てこない

食べこぼしやお皿を落としてしまうことが多かった、3歳児クラスのお子さん。食器を扱うときに手を添えられず、左手はだらんとしたまま右手だけを動かして食事をしている状態でした。

保育士が「お皿を大切に扱ってほしいこと」や「左手を添えると上手に食べられること」をていねいに何度も伝えて、やっとこぼさずに食べられるようになってきました。あとになって「おうちではお皿がテーブルにくっついているから、左手を使わなくてもうまく食べられた」と本人から聞き、保育士ともども納得しました。

 

お箸の持ち方がすこし違う

「おうちでお箸を使っているから」と言い、保育園でも箸を使い始めた4歳児クラスの子。その様子を見ていると、確かに箸で食べものを口に運んでいるけど、なんだか変な持ち方をしていました。

ママから聞いた話では「上手に持てています」とのことだったので、正しい持ち方になおしてみたのですが、今度は変なところに力が入ってしまい、もとの持ち方に戻ってしまいます。ご家庭での環境をあたらめて詳しく聞き、矯正箸を使っていることがわかりました。

じつは矯正箸は、普通の箸とは違い、指の力を入れるべきところに力を入れなくても使えてしまいますそのため普通の箸を持ったときに、力加減を難しく感じ、力の入れ方がわからなくなってしまうのです。まずはご家庭で矯正箸を使うのをやめてもらいました。

その後、食事中に箸を持つときは正しい方法で、難しいようならスプーンを使うようにしながら、成長に合わせて少しずつ練習。保育のなかでも、ピンセットでビーズを移すような指先を使うあそびを増やすことで、お箸を上手に持てるようになりました

 

便利グッズとの上手なつきあい方

多忙な育児のなかで、「このアイテムなくては生活がまわらない!」ということも実際ありますよね。

手が離せない、近くにいられないというときには、パパ・ママの手間が省け、お子さんも「自分でできる」と自信につながる便利グッズを活用してもいいと私は思います。

でも、そのことで「成長した!」と思うのはちょっと気が早いかも……というのが今日の話です。

できないことを「できたふう」に見せてしまうのが、便利グッズのデメリットでもあります。保育園での例のように、頼りすぎた結果お子さんの成長を妨げてしまう場合もあります。

ですので、時間があるときには便利グッズを使わずに、お子さんの様子を見てあげることも意識してみてください。子どものカラダの機能は、成長に合わせてサポートしてあげることで促されていきます。お子さんのペースに合わせて、一歩ずつステップアップしていけるといいですね。

 

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