今回のテーマは「子どもと遊びながら仕込む、手作り味噌」です。
こんにちは!「管理栄養士」「乳幼児食指導士」「こども成育インストラクター」の藤原朋未です。
わたしは子どもが生まれてから、冬の手仕事として味噌づくりを始めました。「お母さん」らしいことをしてみたかった、というのが動機のひとつです。
子どもが大きくなったときに【毎年冬になるとお母さんと味噌づくりをした】と思い出してくれたらうれしいな、そんな想いがきっかけでした。
そんな味噌づくりも今年で5回目。4歳になる長男は「お豆をふみふみするんだよね」「次はこねこねだね!」と、回を重ねるごとに味噌がどのように作られているのかを理解しているように思います。
味噌づくりは子どもにとっても刺激がたくさん
お母さん像への憧れから始めた味噌づくりですが、実際に行ってみると小さな子どもにとっても刺激がいっぱい!
工程はとてもシンプルですが、【発酵】という不思議な科学や【潰す・こねる】という遊びの要素まで含まれ、子どもの興味を引き出すポイントがたくさん詰まっています。
味噌づくりは「寒仕込み」といい、寒い時期に作るのが最もおいしくできるとされています。冬に仕込むことで、まずはゆっくりと発酵させ、夏になるとぐっと発酵が進み、また気温が下がったころに味が仕上がってくる、という流れです。
今年もそろそろ味噌づくりの季節がやってきました。すっかり手作り味噌の虜になったわたしが、子どもと作る際のポイントをあわせてご紹介させていただきます。
味噌づくりキットを選ぼう!
味噌の原料は【大豆・塩・こうじ(糀・麹)・水】の4つ。シンプルだからこそ、どの材料をどんな割合であわせるかにより味わいは異なります。初めての方は、ぜひ「キット」として販売されているものを選んでみてください。
まずはキット選びのポイントです。
キット選びのポイント
★できあがり量を選ぶ
手軽に作れる1kgのものから、たくさん味わいたい5kg以上のものまで……量が増える分、大豆をゆでる工程や潰す・混ぜるといった工程に手間がかかります。初めての方は少量から、慣れたら量を増やしていくのもいいですね。
★こうじ(糀・麹)の種類を選ぶ
こうじには、生こうじと乾燥こうじがあります。購入後、すぐに作る場合は生こうじで問題ありません。一方、乾燥こうじは保存が効くので、作るタイミングを選ばないのがメリットです。
また、原料として米か麦のどちらかを選びます。一般的に多く使用されるのは米麹。米の甘味がつよく、まろやかな味わいが特徴です(今回は米糀を使っていきますので、以降「糀」と表します)。
麦麹はあっさりとして、麦の香ばしい香りが特徴的。プチっとした食感が楽しめるので、ディップなどにするとおいしく食べられます。
★糀歩合(ぶあい)を選ぶ
糀歩合とは、大豆に対する糀の割合を表します。一般的には、糀歩合が高くなると「甘口の味噌」と呼ばれます。大豆:糀=1:1の場合を10歩(ぶ)とし、歩合は6〜20程度と幅広く作られています。
普段使われている味噌が何歩なのかを確認し、お好みの歩合を選んでみてください。わたしは甘口が好みなので、糀が多めの17歩合で作っています。
味噌づくりを始めよう♪
今回は山田鶴亀本店さんの「手作り味噌セット 北海道産大豆と糀三袋(麹歩合17)」を購入しました。糀歩合は17と甘め、できあがり量は約6.3kg、塩分11%のお味噌が作れます。
※材料や用意するものは購入したセットに準じてご用意ください。
※レシピ中の★印は、お子さんが参加できるポイントです。
材料 できあがり量 6.3kg
・生糀・・・2550g
・大豆・・・1350g
・塩・・・700g
※すべて「手作り味噌セット 北海道産大豆と糀三袋(麹歩合17)」に含まれています
用意する物
・大きなザル・ボウル
・圧力鍋(鍋でも可)
・保存用の容器
・重石用の塩
・食品用アルコール
作り方
① 大豆をよく洗い、大豆の量の3倍の水に8~10時間浸水させる。
★水に浸ける前の大豆をいくつか残しておくと一目瞭然!
子どもたちからは「こんなに大きくなるんだね!」と驚きの声が上がります。
② 新しい水に代え、鍋を火にかける。アクを取り除いたらもう一度水を新しくして火にかけ、沸騰後に4〜5時間、大豆がやわらかくなるまで弱火で煮る。指で簡単に潰れる程度が目安。
③ 煮上がったら煮汁を600ml程度残してザルにあげ、粗熱を取り、袋に入れて潰す。
★さぁ、子どもたちの出番です。一緒にふみふみしてみましょう!
温度や感触についてもぜひ話してみてください。
「あったかい!」「むにゅむにゅしてる~」なんて声が上がってくるはずです。
わが家では、袋は厚手のものを使用して、万が一破れたときのために食事用のマットを敷いています。
★ゆでたての大豆の香りは?味は?少し味見してみるのも楽しいですよ。
当時2歳の息子は潰すより食べるばかりでした……笑
④ 生糀に塩を入れ、全体をほぐすように混ぜあわせる。(塩切り)
★袋に入れてフリフリ〜!
「まだ塊があるよ~」「サンタさんが持っている袋みたい!」と、ここでも子どもたちが大活躍。
⑤ 塩切りした糀と潰した大豆を混ぜる。
この工程は少々体力勝負。仕上げは大人の方が行い、よく混ぜあわせてください。粘土の硬さを目安に、煮汁を加えながら調整します。
⑥ 空気を抜きながらだんごを作り、容器に詰める。
★にぎにぎ!ぎゅうぎゅう!
空気が入らないように一段ずつ押し込んでいきます。
⑦ 容器の縁を消毒し、空気が入らないようにラップを敷く。
経験上、空気に触れやすい容器の縁や表面にカビが生えがちです。カビの発生を抑えるためにも、空気が入らないようていねいに敷き詰めてください。
なぜかここで一番張り切るわが子たち……。
「あぁ、空気が入ってる」と言いたいところをグッとこらえて見守りました。
後日、こっそり敷きなおしました(笑)。
⑧ ラップの上に、袋に入れた塩で重石をして蓋をし、冷暗所で保管する。
このときは重石用の塩を用意するのを忘れたので、米で代用しています。
重石をすることで、たまり(液状のもの)が上がりやすくなります。たまりは発酵が進んでいる印。たまりが表面に見えてくれば、カビが生えにくい状態になっています。
たまりがあふれるほど出てくる場合は、重石が重すぎるかもしれません。重石の量を減らしてみてください。一方、たまりが出てこない場合は重石が軽すぎる可能性も。味噌は容器の上まで入れずに、重石をする分空けておくのがポイントです。
★1〜2ヵ月に一度、お味噌の状態をお子さんと一緒にチェックしてみましょう!少しずつ色づき香りが豊かになるのを、容器の外から観察できますよ。
小さなカビは、スプーンで取り除けば問題ありません。蓋の開け閉めは、カビを見つけたときだけにしてくださいね。
完成は約10ヵ月後。味見をして、おいしいなと思ったところで冷蔵庫や冷凍庫に入れて保存し、使い始めましょう。
手作り味噌でお野菜を食べてみよう
味噌のおいしさを存分に味わえる味噌ディップのレシピをご紹介します。作り方は、すべての材料を混ぜあわせるだけ!
手作り味噌のおいしさは格別です。もしかしたらお子さんも野菜がモリモリ食べられるかも……?
味噌マヨ
大人も大満足!定番のマヨネーズとあわせて
材料 作りやすい分量
・マヨネーズ・・・大さじ2
・味噌・・・小さじ1
・砂糖・・・小さじ½
ヨーグルト味噌
甘みの効いたさっぱりディップ
材料 作りやすい分量
・ヨーグルト(無糖)・・・大さじ2
・味噌・・・小さじ1
・はちみつ・・小さじ½
味噌汁をはじめ、味噌は毎日の食事に欠かせない調味料です。地域、ご家庭によってさまざまな特性を持ちます。「今年の味噌はどんな味かな?」そんな風に毎年の味噌づくりを楽しんでみてください。わたしも子どもの成長を感じながら、今後も味噌づくりを続けていきたいと思います。
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