今回のテーマは「食べる環境を整えるための食器・食具選び」です。
こんにちは!「管理栄養士」「現役の保育園栄養士」の椛嶋貴子です。
食器や食具(スプーンやフォーク)を選ぶことも、食べるための大切な環境づくりのひとつです。子どもが自分で食べることを考えると、どのような食器・食具が適切でしょうか?成長に合わせた器や道具選びのポイントを、具体的にお伝えします。
食器を選ぶポイントは?
まずは食器。
わたしは、できれば陶器のものを選ぶことをおすすめしています。
陶器の食器は、扱いかた次第では簡単に壊れてしまうので、避けている人もいるのではないでしょうか?子どもの食器として安全性を第一に考えたとき、選ばれやすいのはプラスティック製ですよね。プラスティックの食器は壊れにくいほか、とても軽いのが特徴です。
しかしその軽さが、子どもにとっては扱いにくさにつながる場合があります。
プラスティック製の器は食事を入れてもそこまで重くならず、手で持とうとしたときに倒れやすかったり、スプーンですくうときにお皿が逃げていきやすくなったりします。
それに比べると陶器は重いので、ごはんが少ないときにも器が安定します。もちろん、雑な扱いをしてしまうと割れる可能性は高くなりますが、「自分で食べること」を練習する時期である幼児食期には、お子さんがストレスなく扱えるかどうかも重要です。
スプーンですくいやすい形状であることも、選ぶときの大切なポイント。ふちが立ち上がっていると、最後まで自分で食べやすくなります。
また、ふちが立ち上がっていても、外側にそれている器だとなかなか最後まですくえないので、内側に向かっているものがおすすめです。
食具を選ぶポイントは?
食具を選ぶときには、「素材と重さ」「形状」「大きさ」がポイントになっていきます。
素材と重さ
お子さんが扱いやすそうなものを選ぶようにしましょう。細くて硬いもののほうが使いやすい子もいれば、太くて柔らかい素材が使いやすい子もいます。木製のお箸が使いやすい子もいれば、竹製が使いやすい子もいます。
選ぶときには、スプーンにしても箸にしても重すぎると手が疲れてしまい、食事に集中できなくなってしまうことに注意しましょう。できればいくつか試しながら、わが子にあったものを選べるといいですね。
形状
スプーンに関しては、先端のボウルの形状もしっかり見て選ぶようにしましょう。幅や深さが子どもの成長にあったものを使うようにします。
離乳食の完了ごろには小さくて深すぎないものを。その後しっかり口の力がついてきたら、少し大きくて深いものでも使えるようになります。
大きさ
食具全体の大きさも合っているか見てあげましょう。スプーンでも箸でも、長すぎると扱いづらいので、手の大きさに合わせて選ぶようしてくださいね。
食器・食具を使うときに、子どもに伝えたいこと
どんなに子どもにとって良い食器・食具をそろえても、扱う本人がその大切さをわかっていないと意味がありません。食べるときに使う器やスプーンは、おもちゃではなく食べるための大切な道具ですよね。その大切さを伝えるためには、壊れない食器・食具は不向きです。
もちろん、どんなに雑に扱っても壊れないものはありません。プラスティック製の食器も投げたり、たたいたりしたら壊れてしまいます。けれど、「投げると壊れてしまうよと」ていねいに何度も伝えると、子どもにはちゃんと伝わるものです。
伝わるまでに、使っていた食器や食具が壊れてしまうこともあると思います。仮に何回も壊れたとしても、そのたびにしっかり伝えるようにしましょう。「子どもだからわからない」ではなく、「まだ難しいかもしれないけど、ゆっくりわかるようになってくれるといいな」という気持ちで話してみてください。誠心誠意伝えることで、子どもはしっかり受け止めてくれますよ。
食器選びは、子どもの食べる力を育てるためにとても重要です。扱いやすいもの、お子さんに合ったものを選び、食べる力をしっかりと育てたいですね。